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アフィリエイターも必見!改正された景表法に基づく管理上の措置指針について解説

公開日:2022/11/10

紺野リサ

株式会社インタースペース

紺野リサ

インターネットの普及に伴い、Web上での広告も多様化している近年。
アフィリエイト広告の市場規模も年々大きくなってきており、今後も拡大が見込まれています。

そんな中、2022年6月29日に景品表示法に則り公示されている「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」がアフィリエイト広告の内容を追加して改正されました。

アフィリエイト広告は、アフィリエイターが消費者目線で広告内容を作成することで、消費者の選択肢の幅を広げ効率的な広告配信や需要喚起に効果を発揮しています。また、広告主にとっても、費用対効果の高い広告であるため、手軽に利用できることも大きなメリットです。

一方で、アフィリエイターが商品やサービスの記事広告やコンテンツを作成することで広告主による管理が行き届きにくいといった問題や、成果報酬を求めてアフィリエイターが虚偽誇大広告を行ってしまうなど、アフィリエイト広告ならではの問題点があるのも事実。

こうしたことから、消費者庁による実態調査と適切な対応方策を検討するための「アフィリエイト広告等に関する検討会」が開催されました。

今回は、そもそもアフィリエイト広告等に関する検討会とはどういったものなのか、消費者庁が改正した「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の具体的な内容とアフィリエイターが気をつけなければいけないことについて解説していきます。

少し難しい内容になってしまうかもしれませんが、アフィリエイターとしてどういったことに気をつけて対応しなければいけないのか、なるべくわかりやすく紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

近年、アフィリエイト広告に限らずネット上の広告において不当表示が多くなってきており、消費者庁や消費者団体へのクレームが増えています。

このように消費者庁は一般消費者に不利益が生じてきていることを鑑み、アフィリエイト団体や広告業界団体、大学教授らなどの有識者と集い2021年6月から6回に渡り「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催しました。
*検討会のメンバーには、弊社社長の河端伸一郎も日本アフィリエイト・サービス協会(JASK)会長として参加

検討会の内容は、アフィリエイト広告の実態を把握するための実態調査や、景品表示法の適用などに関する考えかた、不当表示の未然防止等のための取組みを検討し、アフィリエイト広告市場の健全な発展に向けた対応方策などです。

ちなみに、景品表示法の規制対象となるのは一般消費者向けに商品などを提供する事業者です。アフィリエイトの中では、広告主となります。また景品表示法は消費者庁の管轄で、一般消費者に誤認される不当表示や過大な景品類の提供について規制しています。

景品表示法についてはコチラ!
<アフィリエイトと法律3>景品表示法を知ろう!

先述した通りここ数年、手軽に消費者のアクセスを得るために、過度なあおり文句で消費者をあおる問題のあるアフィリエイト広告が一部で増加し、適切にアフィリエイトを利用している多数の広告主やアフィエイターの収益性を上回るなど、アフィリエイト広告のイメージを害している現状があります。

▼一部のアフィリエイト広告による一般消費者への影響

  1. 過度なあおり文句の広告表示
  2. 過度なあおり文句の広告による収益増加
  3. 得た収益で一般消費者が目にしやすい広告枠に出稿
  4. 一般消費者のアフィリエイト広告に対するイメージの悪化

このように、問題のあるアフィリエイトを行う広告主やアフィリエイターが一部であったとしても、広告出稿の状況により消費者は大量の過激な表現をしている広告を目にすることもあります。

そうなると大多数の広告主やアフィリエイターが賢明なアフィリエイト活動を行っていたとしても消費者はアフィリエイト広告に問題があるように感じてしまいます。

このような問題のある広告の責任を明確化する必要がありますが、特性上アフィリエイト広告は広告主と関係するアクセストレードのようなASP、広告代理店、アフィリエイターといった関係事業者がいます。

通常、取引関係事業者がアフィリエイト広告の表現を決定することはありませんが、その関係事業者にプロモーションや広告の作成を委ねる場合もあり、広告の管理責任の所在があいまいという側面が課題となっていました。

こういった状況を打開するために、検討会でも広告の管理について議論し、パブリック・コメントで意見を募集した上で、指針が改正されました。

改正前の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」でも、事業者に対して不当表示等を未然に防止するために必要な措置を講じることなどは盛り込まれていました。しかし事業者に対しての指針となっていたため、改正された指針では、関係事業者も含めた景品表示法の考えかたの周知や啓発、法令順守の方針の明確化などが新たに盛り込まれ、表現に対する管理方法についてより明確化されました。

次項で、改正された内容を中心に指針の内容を解説していきます。

消費者庁が改正した「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」とは、景品表示法第 26 条第2項の規定に基づき事業者(広告主)が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めています。

指針なので、この指針自体に罰則規定などはありません。ただし、不当表示等を行うと一般消費者の利益を損なう可能性があります。この指針は、不当表示を防止するために事業者がおこなったほうが良いとされることを述べています。

それでは、ここから指針の内容を一つずつ説明します。

1.景品表示法の考えかたの周知・啓発

事業者は、不当表示等の防止のため景品表示法の考えかたについて、自社内はもちろんのこと表示などに関係している事業者すべてに周知・啓発を行うことを明記しています。

これは、商品やサービスについて最も多くの情報・知識を有している事業者が一般消費者の利益を保護し最終的には事業者や業界全体の利益となることを理解し、関係事業者に対しても不当表示を防止していくために周知や啓発をおこなっていきましょう、ということです。

具体例として、広告主自身またはASPであるアクセストレードを通じて、アフィリエイター自身にも景品表示法の考えかたを周知する、などです。

アクセストレードでもASPとして、アフィリエイトの健全化を目指して「薬機法」や「景表法」など法律に関するコンテンツの発信や、弁護士を招いた「薬機法・景表法セミナー」を開催してきました。

また、薬機法・医療法・景表法・特定商取引法を遵守する事業社向けの認定資格「YMAA」「KTAA」のゴールド団体認証を取得し、 広告健全化に向けた取り組みを強化しています。
https://www.interspace.ne.jp/press/2513.html

これからもアフィリエイターの皆さんの役に立つ情報を発信していきますのでぜひチェックしてください。

2.法令遵守の方針等の明確化

事業者は、不当表示等のために自社内において景品表示法を含む法令遵守の方針やとるべき手順などを明確化することはもちろんのこと、関係事業者にも業務に応じた法令順守の方針や手順を明確にすることを明記しています。

具体例としては、広告主はASPを通じてアフィリエイターと不当表示を行わないように法令順守の方針を明確にし、違反した場合には債務不履行を理由とする成果報酬支払の停止や契約解除などの具体的措置を明確にしておくこと、などです。

アクセストレードでは、パートナー利用規約に法令順守や違反した場合の措置を記載しています。

また各プログラムの詳細情報に、提携や成果に関する情報が記載されています。広告主によっては違反した場合の具体的措置についても書かれています。提携、掲載する際には必ず確認しましょう。

3.表示等に関する情報の確認

事業者は、景品類の提供時には違法とならない景品類の最高額・総額・種類・提供の方法や商品やサービスについての説明を一般消費者に訴求する場合には、表示の根拠となる情報を確認した上で表示するよう明記しています。

なお、アフィリエイト広告を利用する際に、利用する事業者がアフィリエイターに広告制作を委ねた場合は、表示内容を確認することが必要になる場合がある、とも述べられています。

これは、誇大広告や過度な表現を助長して一般消費者の不利益とならないよう、自社内はもちろん関係事業者に対しても表現について確認していきましょう、ということです。

具体例として、広告主がアフィリエイト広告のプロモーションを委ねた場合には委ねられた事業者がアフィリエイターに対して不当表示などを助長するような指示を出していないか確認すること、アフィリエイター等が作成する表示内容を事前に確認すること、などがあります。

アクセストレードでは、広告主と連携し不当表示や誇大広告のパトロールを行っています。アクセストレードから記事修正依頼や掲載方法の確認など連絡が来る場合もあるかもしれませんが、その際はアフィリエイト市場の健全な業界発展に向けてご協力ください。

4.表示等に関する情報の共有

事業者は、事業者の規模に応じ3の「表示等に関する情報の確認」で確認した情報を自社内の関係する部門はもちろんのこと、関係する事業者に対しても不当表示等を防止する上で必要に応じた情報を共有し確認できるようにすることを明記しています。

これは、不当表示がその商品やサービスを企画・製作などをする部門と実際に表示を行う部門で情報共有が希薄である場合や、自社以外の事業者が関係する場合に連携不足や情報共有不足が発生する要因になる場合があることから情報をしっかり共有し不当表示を防止していきましょう、ということです。

具体例として、アフィリエイト広告において広告表示に関係する表示の根拠をASPの管理画面などでアフィリエイターに共有すること、などがあります。

アクセストレードのプログラム詳細ページの一番下には、「注意事項・特約」という項目が記載されているプログラムがあります。そこには各広告主が設定したガイドラインが記載されており、「こうした表示はしないでください」といった具体的なNG表示の例が記されています。記事を書く前にはこうしたガイドラインをきちんと確認しましょう!

5.表示等を管理するための担当者等を定めること

事業者は、表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門をあらかじめ定めることを明記しています。ただし、専任である必要性はなく一般的な法令順守等に関する担当者や担当部門を表示などの管理担当者に指定することもできます。

具体例としては、アフィリエイト広告の制作をアフィリエイターに委ねた場合でも、広告主が表示内容の指示や確認する権限を持っていることをアフィリエイターと確認すること、などがあります。

アクセストレードでは、パートナー利用規約の中で広告表示をするためのリンクコード改変で禁止としているひとつに「リンクコードの改変に伴い、画像バナーやテキスト広告等の広告表現が変更される場合」と記載しています。

各広告プログラムのアフィリエイト広告を掲載する場合には、広告主が許容していない表現などになっていないか気をつけましょう。

6.表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること

事業者は、3の「表示等に関する情報の確認」で確認した情報を表示するサービスや商品が一般消費者に提供されると想定される期間、確認できる資料などの保管をおこなうこと、同様に制作を関連事業者に委ねる場合も同じようにすることを明記しています。

これは商品やサービスを提供できると想定した期間、一般消費者に表示の根拠などが明確に伝わる、伝えられるようにしておきましょう、ということです。

具体例としては、アフィリエイト広告のように削除されると回復が困難となるような表示については、事業者が広告表示の保存も含め、根拠となる情報を後々確認できるように資料を保存することなどがあります。

アフィリエイト広告表示に関する情報の保存期間については、アフィリエイト広告リンクから商品やサービスを購入することができなくなるまでの期間とその商品・サービスの特徴や性質に応じた合理的な期間と、具体例で示されています。

なお、アフィリエイト広告のような表示の根拠となる情報が多数ある場合に、全ての情報を保管することは困難となる場合があります。そのような場合には、定期的に表示の確認を行うなど不当表示などを未然に防ぐ取り組みなどをしっかりとおこなっていくことで保管の代わりとすることもできるとも書かれています。

先に述べたとおり、アクセストレードでは広告主と連携して不当表示などのパトロールをおこなっています。これは広告表示の確認をすることで、不当表示を防止し消費者に誤解を与えないようにすると共に、正当なアフィリエイト活動をおこなっているパートナーを守るためにも実施しています。

7.不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

事業者は、特定の商品やサービスに景品表示法違反またはそのおそれがある事案が発生した場合、対応するための3つの項目が述べられています。

  1. 該当事案の事実関係を迅速に正確に確認すること
  2. 1でおこなった事実確認に即した不当表示による一般消費者の誤認を迅速に適切に排除すること
  3. 再発防止に向けた対策をとること

これは、おこってはいけないこと、すなわち不当表示が発生してしまった場合には、しっかりと事実確認をおこない、一般消費者の誤認を解消するべく迅速に対応しましょう、ということです。

具体例としては、アフィリエイト広告において不当表示が明らかになった場合には、事業者もしくはASPを通じて迅速に不当表示などを削除・修正できる体制を構築することなどがあります。

アクセストレードでは不当表示などを発見した場合には、表示などの修正をお願いしています。
残念ながら、修正いただけない場合には成果報酬の支払いの停止、提携やパートナー会員の解除などの対応をとる場合があります。

「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」は義務ではない

「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」は、説明してきたとおりアフィリエイトでいえば、事業者は広告主となり主に広告主に向けた指針となっています。

しかし、内容の紹介をする前に記載したとおり「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」は、あくまで指針であり主な対象となる広告主にとっても義務ではなく、具体例として述べられている内容もパブリック・コメントへの消費者庁の回答では、「この指針は広告主の参考としての性質であり、必ずこの通りにしなければならないわけではないという認識で間違いはない」とありました。

では、この指針はなぜ公示されているのか?
アクセストレードでは、この指針は不当表示などにおいて広告主の理解を助けるための参考とするべきものであり、広告主の規模や業態により対応すべき内容も異なると認識しています。

消費者庁としても検討会の報告にあるようにアフィリエイトの意義については認めています。

アフィリエイトの意義

1.消費者目線であること
アフィリエイト広告は、いわば消費者目線に近い広告とも位置付けられ、消費者に近い者の自由な意見や情報が消費者間で共有されることを通じて、より一層、消費者が自分の意思で自由に商品・サービスの選択機会を増加させることになるため、より望ましい消費者の権利の実現にも資するものである。

2.事業者が手軽に利用できること
アフィリエイト広告は、これまでの広告手法ではアプローチできなかった消費者へのアプローチや、消費者へのより効率的なアプローチを可能としていることなどから、広告主にとっては、消費者への訴求手段として、既に経営上必要不可欠なものとなっているという統計もある。

※令和4年2月15日 アフィリエイト広告等に関する検討会報告書より一部抜粋

アフィリエイターの皆さんは、事業者に該当しないものの健全なアフィリエイト業界を作る一端をASPであるアクセストレードも含めて担っていただいていると思っています。
これからのアフィリエイト業界を良くしていくためにもアクセストレードと共に、この指針を認識しアフィリエイト活動に活かしてもらえるとうれしいです!

表記の確認や修正に対応する事でサイト作成や運用におけるリソースが拡大してしまい、損をしているように感じるかもしれません。

ですが、景品表示法をしっかりと理解し、今回の指針の考えかたを理解したメディア運営を行っているアフィリエイターに掲載をお願いしたいという広告主も多いはずです。広告主から求められている内容を理解した上で、それに応えられるアフィリエイターは重要な存在となっていくでしょう。

アフィリエイト広告等に関する検討会と事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針は、どちらもアフィリエイトを新たに拡大規制するためのものではなく、あくまでも一般消費者を守りつつ業界を健全に成長させるためのものです。

これからもアクセストレードではアフィリエイト市場の健全な業界発展に向けて情報発信や活動を続けていきます。
また、情報がでたら皆さんにお伝えしていきますのでぜひチェックしてみてください。

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  • 本記事の内容は、2022/11/10更新時点の情報です。更新日より期間が経過している場合など、状況により現在の情報とは異なる可能性があります。
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